はじめに
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休憩時間はほとんどキーボー島 |
「パソコンをもっと学習場面で活用するために,子どもたち
の文字入力スキルを高めたい」と,何年も前から考えていた私
に,昨年8月,「キーボー島アドベンチャー」が始まるとの知
らせがスズキ教育ソフトから届きました。早速体験してみた私
は利用を決断し,サービス開始当初の9月から3学年以上で取
り組みをすすめてきました。
あれから,5か月とちょっと。ローマ字表とにらめっこしながら文字入力していた子どもたちも,今ではスピードに個人差はあるものの,ほとんどの子が自分のペースで確実に入力できるようにな
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3年
21名 |
4年
17名 |
5年
26名 |
6年
30名 |
30〜24級 |
7 |
1 |
1 |
6 |
23〜22級 |
2 |
1 |
1 |
1 |
21〜18級 |
1 |
0 |
5 |
3 |
17〜14級 |
6 |
9 |
13 |
6 |
13〜
9級 |
1 |
1 |
1 |
1 |
8〜
6級 |
1 |
3 |
0 |
0 |
5〜
1級 |
1 |
2 |
4 |
5 |
初段 |
0 |
0 |
0 |
5 |
名誉島民 |
2 |
0 |
1 |
3 |
▲進級状況(2月15日現在) |
り,国語科の作文学習に,卒業文集づくりに・・・・パソコンをこれまで以上に利用しています。
さて,前置きが長くなりましたがこのような子どもたちの上達を支えた要因の一つに「みんなのけいじ板」があると感じておりますので,これから子どもたちの姿にふれながら,掲示板の果たしている教育的な効果(役割)について感じていることを述べてみたいと思います。
掲示板による情報交換(収集)
まずは,この掲示板の設置目的でもある,進級(上達)のために必要な情報交換(収集)の場としての効果(役割)が挙げられると思います。本校の子どもたちも,まずこの目的で掲示板を利用し始めたようです。
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児童へのアドバイスを書き込む |
「掲示板」本来の機能は,焦点化した情報を時間の制約を受けずに共有・交流できることにあると言えますが,この掲示板は級別に分けて設置してあるため,子どもは上達するために欲している情報を容易に収集できていたように思います。
指導する側から見ても学ぶ側が一番求めているアドバイスをできたことが最も効果的であったように思います。また,同じ校内にいるので直接指導することもできるのですが,次のような理由から積極的に掲示板での指導を心がけました。
・ 時間的な制約を受けない
・
一度書き込んでおけば同じような悩みを持つ子どもたちの役に立つ
掲示板によるモラルの学習
次に,実践を通したモラル学習の場としての効果(役割)です。
ある日,事務局から左下のようなメールが私に届きました(この掲示板では,子どもたちの書き込みがあると全て指導者宛にメールが届きます。また,キーボー島事務局より注意が必要な書き込みについて連絡があります)。掲示板の前後を確認してみると,決して悪意をもって書かれたものではなかったのですが,表現に不適切な部分があることから学級担任と相談し,この機を捉えて学級全体でのネチケット指導を行いました。
<事務局からのメールより>
先生の登録されている子供さんの書き込みで気になるものがありましたのでご報告します。--------------------------------
攻略法 1級 の項目に
以下のような書き込みがありました。
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コメントの内容
船木小 ○年○○○組 ○○○だよー
とっっっっっっっっっても邪魔だと思います。
土下座して謝ってください(笑い)迷惑です。
やめてください。やめろったらやめろーーー
ふざけるなー×1000000000000
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ぜひ担当の先生にご点検いただき,ご指導をお願いいたします。
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<指導後の書き込み>
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「攻略法 13級」への投稿
投稿者:○年○○組 ○○○だよー
それは・・・
それは[L」「T」「U」エル、ティー、ユー、を押せばいいよ、あと、ティー
を二回押せば小さい『っ』が出るよ。
頑張れ(^_^)/~!!。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「攻略法 29級」への投稿
投稿者:○年○○組 ○○○だよー
ラジャ(荒らしじゃないよ)
了解、荒らしを見つけたら注意場に書きこみます。荒らしをいっぱい見つけて、みんなが楽しく書ける掲示板にしますのでよろしくお願いします。
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左上のような書き込みをした子は,この指導後,右上のように,自分が獲得してきたノウハウを積極的に伝えたり,ふざけた書き込みや不適切な表現に対しては,注意の書き込みを行ったりするようになってくれました。このように,時には失敗をしながら経験を積んでいくことで真の情報モラルを身につけていくことができるのだなあと,この一件を通して改めて感じました。
確かに,この掲示板も初期は落書き感覚で意味のない文字を書き連ねたり不適切な表現で人に不快な思いをさせることも多かったようですが,子どもたちなりに成長し,一定の秩序が形成されてきたように思います。なお,このように成果があがってきたのは,この掲示板をいつもたくさんの大人が「しっかりと見守っている」ことが大きいなと感じています。
※
このことについては,本マガジンvol.7の実例から学ぶ掲示板のエチケットとマナー (滋賀県大津市立瀬田小学校 石原一彦先生 筆)を参照されたい。
掲示板による習得技能の活用
三つ目は,習得した技能を生かす場としての効果(役割)です。
子どもたちが上達をしてくると,その腕を試し,磨く場を求めはじめます。「全国ランキング」のコーナーは,まさに「速く正確に」タイピングする技能を試し,磨く場としてその役割を果たしています。我が校の子どもたちもランキングに載ることを励みに,懸命に頑張っています。
一方,「掲示板」では,身につけたタイピング技能を生かして友だちを求め始めています。特に「いま何級」のコーナーは,ネット上での友だちづくり・コミュニケーションの場として活用されています。こちらは,自分のコメントに対する返事をもらったり,遠く離れたところに住む子と友だちになったりすることの喜びを味わいながら,うまくコミュニケーションをとるための表現力や態度を実践的に学んでいるのではないかと感じています。
最近,急速に増えてる書き込みのほとんどはこうしたことが目的のようです。中には,ほとんどチャット感覚で数分刻みの書き込みをしていたり,他の小学生用掲示板やチャットルームで交流を始めている子も出始めたりと,目が届きにくくなっているので少し心配しています。
ただ,いつかは巣立っていく子どもたちですから,キーボー島の掲示板においては,安心して送り出せるような技能と態度を形成できるよう,広い視野に立ち,これまで以上にきめ細かなケアをしていくことが必要なのかなと考えているところです。
おわりに
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国語の授業で「意見文」をパソコンで作成する5年生 |
最後に,少しテーマからそれますが,キーボー島にまつわるエピソードを一つ紹介して本稿の締めに代えたいと思います。
つい先日,名誉島民の3年生A君から,「先生。カリスマキーボー3世は何文字(1分当たりのスピード)だった?」と尋ねられ,「えっと,85文字だったかな。」と答えておきました。すると,数日後には,ケロリとした顔で「先生,97文字打てたよ。」と言われてしまいました。ちょっとくやしかったのですが,キーボー島を「やってよかったな」と改めて思った瞬間でした。