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キーボー島マガジン

「キーボー島マガジン」では,子どもたちの活動の様子,指導のアイデア,成果などをお伝えしていきます。

編集・発行/キーボー島アドベンチャー事務局(スズキ教育ソフト内) 

 

 Vol.5
2003.11.7

記録の分析からわかるキーボー島での"学習のコツ"

富山大学教育学部講師 高橋 純(たかはし じゅん)
※ 所属は掲載時点のものです

 「キーボー島」には,たくさんの児童が試合をした記録が残ります。すべての学年に渡り,これだけ多くの児童の結果が集まるのは画期的なことだと思います。この記録は,キーボード入力スキルの指導法を考えていく上で貴重です。当サイトを運営する「全国小学生 キーボード入力技能検定委員会」では,この記録からわかったことを先生方にお知らせし,指導に役立てていただきたいと考えています。

 今回は,「全国小学生 キーボード入力技能検定委員会」のメンバーで記録データの分析を担当していただいている高橋純先生に,記録の分析からわかった”学習のコツ”について,紹介していただきます。

 

利用記録の分析から指導方法や学習方法の検討をしています。

 キーボー島では,キーボード入力に関する指導方法や学習方法の検討を行っています。その時に参考にするデータの一つが,試合をしたときに記録されるデータです。この分析から,小学生たちのキーボード入力スキルを把握し,適切な指導方法を検討しています。
 キーボー島を利用した時に記録されるデータは,主に試合の最後に結果の画面に出てくる「速さ」と「正確さ」です。このデータは,子どもたちは「戦いの記録」の画面,先生は全ての子どもの分を「先生用管理画面」において,各級ごとに見ることができます。これらを利用者全体で集計して,学年ごとや級ごとに平均したりすると,様々なことがわかってきました。そこで,ひらがなの級を中心に,利用記録の分析からわかってきたキーボー島での学習のコツについて,お話しします。なお,分析の際には,統計的にデータを処理し,利用者のプライバシーには充分に配慮しています。

中学年,初めは難しさを感じるものの,慣れてくると大きく上達します。

 図1は,ひらがな一文字入力で試合をする級での,入力の正確さを学年ごとに示したものです。当然ですが,3年生より6年生の方が正確に入力できています。しかし,級ごとに,学年差が大きい場合もあれば,小さいときもあります。よくグラフを見ると,3年生は30級(あいうえお)や24級(が・ざ・だ行)など,初めて学ぶローマ字パターンの時は6年生との差は大きいものの,級が進み慣れてくると6年生との差が縮まる様子がわかります。キーボー島を利用している先生からは,「ローマ字入力の初心者である3年生は最初進級の進度が遅いが,試合を重ねてローマ字入力の理解が進んでから,大きく入力速度が伸びる傾向がある」との報告があり,これは図1のグラフと似た結果と言えます。

図1 ひらがなの級における入力の正確さ

★このグラフはサイトオープン前のモニター校によるテスト期間のものです。そのため,「級」の検定内容が現状と異なっています。

 つまり,3年生や4年生を指導する際のポイントは,初期段階で挫折せずに続けて学習できるように支援をすることが重要であり,継続して学習すれば上級生に迫るキーボード入力スキルが身に付くということでしょう。キーボー島のサイトにある「指導のアイデア」や「印刷アイテム」等には,初期段階の壁を乗り越え,学習を継続するための工夫や教材が用意されています。学級の様子にあわせて活用できると思います。

正確にひらがなを入力するためには,「づ」と「ぢ」の使い分けの学習も重要です。


表1 入力ミスの多い文字と少ない文字

 表1は,ひらがなを入力するときの正確さをまとめたものです。100%であれば全員全く間違いなく入力したことを示します。正確に入力できていた文字は,「あ」「は」「ら」など,ローマ字のパターンがわかりやすいものでした。一方で,正確に入力できなかったひらがなは,「づ」や「ぢ」などの濁音を含む単語が多いことがわかりました。これらは「あとかたづけ」など,単語の中での「づ」の入力間違いです。ローマ字以前に,「づ」と「ぢ」の使い分けといった,ひらがなでの表記をきちんと理解する必要もあると言えます。
 ところで,単語としてではなく,濁音を一文字で入力する際は,正確に入力できているのでしょうか。先の図1では,濁音一文字を入力する級は,学年問わず正確に入力できていませんでした。そこで,詳しく見るために濁音の一文字ごとの正確さを図2に示します。縦軸は正確さです。これによると,「ざ」や「だ」など90%程度正確に入力できる文字もあれば,「づ」「ぢ」「ご」「ば」のように全ての学年で正確さが低い文字がありました。特に,「づ」「ぢ」は学年と関係なく,50%程度しか正確に入力できていません。一文字で入力しても,正確に入力できていないのです。


図2 濁音の一文字入力における入力の正確さ


 小学生にとって,一部の濁音の入力は,学年を問わず難しいものと言えます。特に「づ」「ぢ」は,単語に含まれる場合でも,一文字で入力した場合でも,正確に入力できていませんでした。正確にひらがなを入力するためには,ローマ字の学習だけでなく,「づ」と「ぢ」の使い分けといった学習も重要といえます。
 

一日に長時間より,何日間かに分けて学習すると効果的。

 

 進級と試合回数,進級と学習日数について,統計的な分析である相関係数を求めてみました。その結果,多くの試合をすることと進級することには関係が見られず,多くの日数にわたって学習することが進級に好影響を与えていることがわかりました。これは,多くの心理学などの本に書かれている結果と似ています。いっぺんにたくさんの学習をするより,何日間かに分けて継続的に学習した方が,キーボード入力の上達においても有効であると言えます。 
 1級に合格した子どもの結果を見ると,平均して2日に1回程度キーボー島で学習しています。適切な間隔をあけて継続的に取り組めるような指導が必要であると言えるでしょう。

 

 

 

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