「キーボー島アドベンチャー」は,静岡大学情報学部の堀田龍也助教授をリーダーとして,堀田研究室・多くの現場の先生方・スズキ教育ソフトがプロジェクトを組み,情報教教育への貢献を目指して開発したものです。 このサイトがなぜ今必要なのか,堀田先生に語っていただきます。
どうして,今,小学生にキーボード検定なのでしょうか。
堀田先生:2002年度より,全国の学校では「総合的な学習の時間」が実施されています。この時間では,子どもたち自身が強い課題意識を持ち,さまざまな方法で追求活動を進め,これを自分たちなりに工夫してまとめあげ,プレゼンテーションやWebページなどを通して発信するような活動が行われています。
ここではコンピュータが大活躍します。すでに全国の小学校にはコンピュータが完備され,どこの学校も等しくインターネットに接続されているはずです。しかし,このような活動に,今,1つの大きな課題が横たわっています。
それは,子どもたちのキーボード入力のスキルに,大きな差があることです。
授業で日常的にコンピュータを使う今の子どもたちにとって,キーボード入力は避けては通れないものになっています。キーボード入力のスキルが高い子どもたちは短い時間で入力を完了させ,内容の質を高める活動に
時間を割いています。それに比べ,キーボード入力がおぼつかない子どもたちは,とにかく入力す
るだけに時間がかかってしまい,肝心な学習内容を理解できません。このように,学校では子どもたちのキーボード入力スキルの有無が,学習活動の質まで左右しています。
小学生がキーボード入力を楽しみながら練習し,そのスキルを高めたい―――全国小学生キーボード検定サイト「キーボー島アドベンチャー」は,このような願いから企画されました。
でも,小学生にキーボードスキルは早すぎませんか。
堀田先生:小学生は,文字を書いたり読んだりすることが大切で,キーボード入力はまだ早いのではないか―――ありがちな質問です。確かに小学校1年生の場合はそうです。この時期は,文字や言葉を覚え,読み書きができるようになること自体が学習目標です。しかし、中学年になると,絵で表したり,パソコンでプレゼンテーションのスライドを作ったりします。この段階で,子どもたちには一定のキーボード入力スキルが要求されることになります。しかし,小学校1年生には文字を覚える学習時間は国語の中で保証されているにも関わらず,キーボード入力をマスターする十分な学習時間は,残念ながら教科の中では保証されていないのです。全国小学生キーボード検定サイト「キーボー島アドベンチャー」は,授業時間はもちろん,休み時間などを使ってキーボード入力のスキルが身に付くようになっています。そして、一度身につけたキーボード入力のスキルは,当然あらゆる授業場面で利用することができます。検定サイトの開発にあたっては、情報教育実践のリーダー格の先生方、大学でインターフェースを研究している研究者に協力してもらいました。正式オープンの3ヶ月前から,20名もの若手を中心として学校現場の情報教育実践家とそのクラス・学校の子どもたちに,モニターを依頼しました。
上記のような工程で開発されたこの検定サイトで学習を進めていけば,小学校段階で十分なキーボード入力のスキルを身に付けることは難しいことではありません。
どんな子どもたちが参加できるのですか。
堀田先生:「キーボー島アドベンチャー」は,全国の小学生なら誰でも参加可能です。
参加したい学校では,まず担当の先生が,サイトに申請して教師用の管理者IDを取得します。管理者IDでは,クラスやクラブの子どもたちを登録することができ,追って子どもたちの専用IDとパスワードが送られてきます。
一度登録がすめば,専用IDを使って,子どもたちは学校からでも家庭からでも,いつでも「キーボー島アドベンチャー」にアクセスして,アドベンチャーを続けることができます。
そして子どもたちのがんばりの様子を見守るのは先生方の仕事です。教師用の管理画面からは,担当する子どもたちの進級状況やアクセス状況,全国ランキングでの順位が確認できるようになっています。子どもたちに「がんばっているね」などの声がけをしてほしいと思っています。
せっかくインターネット上で検定サイトを作っているのですから,全国の子どもたちとキーボード入力のスキルを競う「全国ランキング」を設けました。
検定サイトには,このほかにも先生方向けの実践のコツ情報や,全国で努力を重ねる子どもたちへのインタビューなどを掲載し,情報満載なコミュニティーサイトにしていく予定です。
(先生用の画面より) 先生は,担当する子どもたちの学習状況を確認できます。
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